流産、不育症
流産、不育症
妊娠はする、胎嚢確認や心拍確認まで至るのに、何度も流産・死産になってしまう。
流産は身体的にも精神的にも大変ダメージが大きく、避けたいものです…。今回は、不育症について考えてみたいと思います。
不育症とは?
妊娠はするが、流産・死産を繰り返して生児が得られないものを不育症といいます。明確な定義はないですが、2回以上の流産または死産の既往があれば不育症として扱われることが多いです。
不妊症と不育症とでは、着床が得られたかどうかが定義上の大きな違いで、臨床的妊娠前(胎嚢確認前)では不妊症、その後は不育症、という扱いになります。
なぜ流産は起こるの?
自然流産は約15%と一定の頻度で起こるものであり、妊娠経験女性の38%が経験しているので、流産自体が病的なわけではないのですが、流産が2回、3回と発生する頻度が実際は計算上よりも高くなっていますので、何らかの原因があって流産を連続している人がいる、と考えられています。
また、年齢と流産率の相関もあります。30代前半で流産率15%に対し、40歳では40%近く、45歳では60%と、高齢になるほど流産率は上昇します。
原因は?
妊娠の維持や胚(胎芽・胎児)の発生に異常をきたすことが原因です。
妊娠の維持に異常をきたすもの ・抗リン脂質抗体症候群(血液凝固能の亢進) ・子宮奇形 ・内分泌異常
胎児の発生に異常をきたすもの ・夫婦染色体均衡型転座 ・胎児染色体異常
不育症と関連が強く、主な原因と考えられているものは、夫婦染色体異常、子宮奇形、抗リン脂質抗体症候群です。
甲状性機能異常や糖尿病なども良く聞くでしょうか。不育症の原因となりえる内分泌疾患です。黄体機能不全や多嚢胞性卵巣症候群も、不育症との関連が疑われています。
その他、血栓性の素因、遺伝子変異、エピゲノム異常、感染、免疫異常、精神的因子が関係していると、研究されています。
治療は?
まずは検査で原因を特定しましょう。
しかし、検査をして原因となる因子が判明するものは約3割と、特定が困難な場合も多いです。また、ある因子があったとしても必ず不育症になるというわけではなく、治療せずとも一定の確率で生児の獲得が可能であるとも。それを踏まえた上で、それぞれの因子に対しての治療が決定していきます。
凝固系の異常では低用量アスピリン・ヘパリン療法、子宮の異常には手術療法(基本的に治療は不要とされている)、内分泌系の異常にはそれぞれの疾患の治療、などが選択されます。原因不明の場合には、確立された治療法はありません。
では東洋医学だと
大切な大切な受精卵や胎児を子宮で育て、守ってくれるのは、身体のエネルギーの源である気の力と、十分な栄養を与えてくれる血の働きが重要と考えます。
不育は、「気血不足」と、ホルモン分泌低下の「腎虚(じんきょ)」が主になります。そこに血流が滞る「瘀血(おけつ)」や、漏れ出さないようにとどめておく力が低下する「脾虚(ひきょ)」などが関連していると見ることができます。
子宮の形に関しては鍼灸や漢方で治すことができませんが、原因が特定困難な場合も多いこと、無治療でも一定の確率で生児獲得可能であることなどを考えると、東洋医学的に、十分に気血がある状態にしておくこと、巡りを良くしておくことが一つの対策になりうると考えられます。
しっかり自分を知っておくこと
流産・死産は、身体的にはもちろんのこと、精神的なショックが大きく、辛いものです。原因不明の場合は治療法もなく、それがさらにストレスを生むこともあります。ストレス状態では妊娠は遠ざかってしまいますので、適切なストレスケア、そして何より、自分の状態を知っておくことが大切です。
流産・死産を繰り返す場合は検査を受けることはもちろんですが、日々、今日の私の体はどうかな?悪い習慣をしていないかな?とチェックしてあげてください。自然で規則正しい生活習慣、食事習慣、運動習慣、出来ていますか。ぜひ今一度見直しを。
自分の状態が良く分からない、どうしたら良いか分からない…という方は、ここつで一緒に考えましょう!お待ちしております。